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第5幕 その部屋は重厚で、歴代の持ち主の性格を凝縮したような部屋だった。
若宮が鼻の頭を動かした後、頭を下げて一歩下がる中、脇に帽子を挟んだ善行が頭を下げる。
「善行予備少尉。再訓練の方はどうだね。」
「うむ、ROTC(一般大学からの任官組)にしては、優秀な成績だ。江田島と比べても決して劣っていない。いや、むしろ勝っている。すぐにも現役登録したいところだが。」
「兵隊言葉は使わなくていい。善行予備少尉。…座りたまえ。」 善行は、きっちりとしたスタイルで座ってみせた。校長がうなずくと、多少楽な姿勢を取る。校長は微笑むと、黙って深く座り直した。
「なんのご用件でしょうか。」
「大陸の状況は、最悪だ。中国軍の勇猛果敢さについては誰も異論を挟めないだろうが、相手が悪すぎる。」 |
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