アフターサービスにご注意~前編
(コツコツ)まだ薄暗い朝靄の中に浮かぶ、人の輪郭・・・ 【小次郎】「ん~? この音・・・ヒールを履いた美女の足音・・・?」 ソファーで寝ていた感度良好な俺の耳が、すばやく外の異常を察知する。 足音から推測するに年は20代前後の若い女性。 スリーサイズは、上からB92 W61 H89・・いやH90だな~ 気になる点は・・・歩く両足のバランスが微妙に不自然な事ぐらいだ。 おそらく銃かナイフを仕込んでいるんだろう。 まさか氷室が帰って来た?いや~その可能性は低いな。 氷室が事務所を飛び出してから約3週間経つが未だに連絡が無いし、 銃なんてしろものは、よほどの事が無い限り携帯していないはずだ。 ここはひとまず慎重に相手の様子を窺がうのが無難だろう。 そう判断した俺は態勢をなるべく低くし、扉サイドにへばり付く。 ん~? 足音が止まった! しかも事務所の扉のまん前~いよいよ美女とのご対面か~! (カチャ)俺は、最近調整したばかりの愛銃グロック22を素早くホルスターから出す。 まっ調整してから一発も撃ってないからなあ~ちょっと心配だがこの際仕方が無い。 (ゴク・・)息を呑む俺は、銃のトリガーに軽く指を触れ全神経を集中する・・・ (ガチャ・・・バコッ?ギィィ・・・) 建てつけの悪い錆付いたドアが、ゆっくりと開く・・・ 【美女】「ハロハロ~ お元気ぃ~!!!」 手を上げてニッコリと笑う、 びっ美女? 【小次郎】「・・・・。」 ????~(フリーズ) 【美女?】「お~い なんで銃を私に向けるかな~」 【小次郎】「?○XZあL@PXYZ・・・」 再起動中、再度システムにアクセス開始・・・拒絶されました。(声:林原めぐみ) 【美女?】「どうしたのよ~意味不明な声出して・・そうだ!一発殴れば~」 美女?は、拳を握り締めてパンチを繰出す構えをする。 【小次郎】「やめ~い!法条ぉ 俺は一世代前の電化製品か!!」 俺は身の危険を感じてサブシステム(反射神経)を働かし、すばやく防御態勢をとる。 【美女?】「せっかくぅ~世直しナイチンゲールのまりなさんが今にも潰れそうな探偵事務所を救いに来てやったのに~」 【小次郎】「ハッ?!超凶暴なゴジラ女が、フェロモン大放出しに来たって俺は嬉しくないぞ!」 【まりな】「そう・・・・・・(ニコッ)」 恐ろしい笑みを浮べるまりなに俺様のハートは、 ク・ギ・ズ・ケ・・・・って~冗談言ってる場合じゃないぞ小次郎~ そうこうしてる間に まりなの鉄拳が俺の腹部にめり込む。(グリ・・・) 【小次郎】「ぐえ~」 俺は、不覚にも床に倒れる(バタッ) 【まりな】「この私をゴジラと呼ぶなんて失礼ね!」 かなりご立腹のようだ、この次同じ事言ったら間違いなくコンクリートと心中させられる。 【小次郎】「ううう~お前さあ手加減って物を知らない?」 【まりな】「知らない。」 キッパリと言い放つまりなの態度に小次郎のコメカミには、怒りがにじみ出ていた。 【小次郎】「で~え? 用件は何だ。」 【まりな】「ん~こないださあ~うちの本部長が貴方を勧誘しに来たんだよね。」 【小次郎】「その件に関しては断ったはずだぜ。」 【まりな】「聞いたわ・・・」 【小次郎】「俺は基本的に拘束された環境の中で仕事するのは嫌いなの。」 【まりな】「そう~それは残念ね・・」 なんでそんな悲しい目で俺を見る? 【まりな】「こないだは助けてくれてありがとう~感謝するわ。」 【小次郎】「あれは大きな貸しだぜ~」 【まりな】「解ってるわよ~でも体は、だ・め・よ!」 【小次郎】「それは残念~」 二人の間に一瞬沈黙が流れるが、そう長くは続か無かった。 【まりな&小次郎】「ぷっふふははははは~」 お互いに腹を抱えながら爆笑する。 【まりな】「ふふふ~あっ! そうそう」 【小次郎】「ん・・・なんだ?」 【まりな】「氷室さんの事なんだけど 今、私のマンションに居るから心配しないでね。」 【小次郎】「そうだったのか・・・面倒かけてすまないな法条・・・」 法条の所に居たのか、心配かけやがって・・・ 俺は今まで胸に痞えていたものが外れたような気がした。 【まりな】「いいのよ、氷室さんが来てくれて、こっちも大助かりなんだから~」 【小次郎】「しばらくアイツの事頼む。」 【まりな】「かなり訳ありみたいね・・でも安心して、余計な詮索はしないから~私に任せておいて!」 【小次郎】「すまない・・・」 【まりな】「連絡先と住所は、ここだからって本当は職務上教えちゃ駄目なんだけどね。」 法条からメモを受け取り、記載されている住所を見て俺は絶句した。 【小次郎】「うっ・・・・・ものすごく行きにくいところに住んでるんだな法条。」 【まりな】「何言ってるのよ~アマゾンじゃあるまいし。」 【小次郎】「いっ、いや~こっちの話だから気にするな」 弥生と氷室がお隣さんって聞いただけで目~の前が暗くなるぜ・・・・ 【まりな】「そう・・じゃ、あたし帰るわ~」 法条は、俺が改めて礼を言おうとしているのにそれを聞かず一方的に出て行った。 てめぇ~人の話は最後まで聞けちゅ~の全く! 俺は怒りのやり場に近くの壁ではなく誤って鏡に拳を打ちつける。(バリッ) 「・・・・・・・・痛い。」 赤染まる自分の利き腕を見ながら俺は、呟いた・・・・ 小次郎サイド から まりなサイドへ
内調本部へ戻ったまりなは、小型のハサミを自在に操る芸術家?を目撃する。 【まりな】「おほん! 法条まりな ただいま戻りました!」 ![]() 【芸術家?】「え? あっああ! まりな君~ご苦労さん~」 【まりな】「ゴクロウ産じゃ無いわよ~昼間っから盆栽いじりって・・前より数増えてない?本部長」 【本部長】「わかる~? いや~最近平和でね~盆栽も増えてく一方だよ~」 このままだと間違いなく本部全体が、ジャングルになるわ・・・・ 【まりな】「へっ、平和ね~アタシには嵐の前の静けさにしか感じられないわ・・・」 【本部長】「駄目だよ~まりな君マイナス思考は・・・っで、あっちの件はどうだった?」 【まりな】「全く本人にその気無し・・・・」 【本部長】「そうか駄目か・・・う~ん、やはり別の人員を付けるしか無さそうだな。」 【まりな】「別の人員?」 【本部長】「そうだよ~君はまだ病み上がりで銃も完全には使いこなせてない、したがって君にはサポートする人間が必要なの!」 【まりな】「銃だけが武器じゃないって前に本部長が言ったじゃない~ 今更そんなの必要ないわよ。」 【本部長】「だが・・・今は優秀な人材を失う訳にはいかない、だからこの件は素直に従って欲しいんだ。」 【まりな】「本部長・・・・」 本部長の真剣な目に圧倒されるまりなは、次の言葉を出せなかった。 しばらく重い沈黙が部屋を包むが本部長の次の言葉で沈黙は一変する。 【本部長】「そういえばさっき、君に電話があったよ。」 【まりな】「えっ~誰から?」 【本部長】「たしか~桂・・頭?」 桂頭ってどんな人だろう?・・・もしかして弥生かな? 【まりな】「桂木?」 【本部長】「そうそう 桂木さんて言ってたな~」 とうとうボケが本部長にもやって来たのね~時が過ぎるのは早いものね・・・ふっ。 しみじみと、そう思うまりなであった。 【本部長】「おほん! まりな君~前にも言ったけど、ここの回線は教えちゃだめって言ったよね・・・」 げぇ~やばい!このままだと本部長の長い長~いお説教が始まるぅ・・ 【まりな】「あっ本部長~私、急ぎの用なんで一階の公衆電話でかけてきます~」 「ちょっと待て~」と本部長は叫ぶが、まりなはマッハの速度で部屋を出る。 (ドスン) 廊下で深々と帽子をかぶった作業服姿の中年男性と衝突する。 男は少しよろけるがすぐに態勢を立て直し、倒れたまりなに手を差し伸べる。 【男】「大丈夫ですか?」 【まりな】「何とか大丈夫みたい・・・あっごめんなさい私急いでいるんで」 まりなは、男性にもう一度謝り急ぎ足で一階に向かう。 【男】「ふっ・・・・少々予定が狂うが先に甲野を始末するか。」 男は不敵な笑みを浮べながらドアをノックする(コンコン) 【本部長】「はい?」 【男】「大木総合電子メンテナンスサービスです、OA機器の点検に来ました・・・」 男はドアを開け部屋の中に入る。 【本部長】「点検? そんな話は聞いていないが・・・」 【男】「いいえ当社の製品をより長く使用していただくためのサービスです・・・この書類をどうぞ。」 そう言いながら男は、本部長に近ずくそしてその書類に手を触れた瞬間!本部長はその場に倒れる。 【本部長】「ス、スタンガン? うっ」(バタ) 気を失った本部長を見て男はすぐさまコンピュータルームに向かい端末をいじり出す。 しばらく経ってコンピュータから警告音が鳴り出した。(び~び~び~) 【男】「これで良し・・・後は・・・」 男は、手際よく小さなボックスをコンピュータルームに設置して部屋を出ようとする。 【本部長】「ま、まて・・・貴・様の・・目・的は・・なんだ・・」 男のズボンのすそを掴んだ手は、麻痺したとは思えないほどの力で握りしめられていた。 現場の長たるプライド・・・いかにも本部長らしい行動であった。 【男】「あれに関わった全ての者を始末する事・・・・」 男はそう言って掴んだ手をねらい銃弾を撃ちこむ(ズドン) 【本部長】「ぐあー!」 室内に本部長の苦痛の叫びが響き渡る! 男は容赦なく続けてもう一発 (ズドン) 次の瞬間、部屋の中は静寂に包まれる。 ただ途切れることなく鳴り続ける警告音だけを除いて・・・ 「どうしたの弥生~?急に電話なんて・・・」 まりなの明るい声が、1階フロアに木霊する。 【弥生】「まりな・・・・私しばらく旅に出ようと思うんだ。」 いつにも無く沈んだ弥生の声が少し気にかかる。 【まりな】「旅って、あんた・・・事務所はどうするのよ?」 【弥生】「もう先日閉めた・・・」 【まりな】「・・・・・・・・。」 【弥生】「まあ~あと2日ぐらいは、マンションに居るから最後一緒に酒でも飲まないか。」 最後って、どういうこと? 言ってる意味わからないよ弥生・・・私は心の中で弥生に訴える。 【まりな】「ぜぇぇったい行くわよ~弱った根性を叩きなおしてあげるわ!」 【弥生】「ふふふ・・お手柔らかに頼むよ」 【まりな】「じゃあ今夜にでも伺うわ!」 【弥生】「待ってるよ・・・それじゃ切るぞ。」(ガチャ) 弥生はそう言って電話を切った。 【まりな】「さ~てと、もどって報告書の山をかたずけるとしましょうか~」 エレベータに向かおうとしたその時、上の階から爆音が響く(ごごごぉ~) 【まりな】「爆音?・・・上の階から?・・・本部長?!!」 もう~こんな時にエレベータは爆発の振動で止まちゃって動かないし、 こうなったら階段で行くしかないわね・・・病み上がりで少し辛いけど。 私は焦る気持ちを押さえながら階段を駆け上がった。 まりなサイド から 弥生サイドへ
久しぶりに聞く親友の声は、深い悲しみに沈んだ私の心を落ちつかせる。 (自分で言うのもなんだけど・・・・・) 「いいもんだな・・・親友って・・・」 さっきまでつながっていた電話機を見ながら弥生は寂しげに呟く。 「あと数日でこの部屋ともお別れか・・・最後に大掃除でもするかな。」 ![]() 私は窓を開け空気を入れかえる。しばらくすると心地よい風が彼女の美しく長い髪を軽くなびかせる。 ふ~う、こんなに気持ちいいのは久しぶりだあ~ 最近いろいろあり過ぎてそれど頃じゃなかったし、気分転換には丁度いいかもしれない・・・ん? 物置に使っていたスペースを かたずけ始めた時そこには見慣れない古くて大きな旅行バックがあった。 バックの中には箱があり、その中にはシガー(葉巻)が数本入っていた。 「パパのシガー・ヒュミドール・・・・・」(注1) なぜここにあったのかさえ覚えていない・・・いやここにあるはずがない物。 箱の底には、一本のマイクロビデオテープとギロチン(注2)それとマッチが入っていた。 弥生は、箱に入っていた葉巻の先をギロチンで切りマッチで火をつける。 あたりに葉巻の香りが程よく流れる。弥生はベットに寝そべり葉巻をベットの横にある灰皿においてポツリと呟く。 「やっぱり小次郎の言うとうり私って経営者の才能無いみたい・パパ・・ゴメン・・・ネ・・・・」 いつのまにか寝息を立てる彼女の頬には一筋の涙が流れていた。 窓の外からは心地よい風が彼女の体をやさしく流れていく・・・まるで疲れきった体を癒してくれるかのように・・・。 続く・・・・ 注1・・・・ シガー・ヒュミドールとは、デリケートなプレミアムシガーを 守るための箱だという事です。 注2・・・・ 葉巻の口を切る道具で 昔の映画の拷問では、 このギロチンを使って指を一本ずつ切り落としていくシーンがあった。 この他に葉巻専用のハサミもあるそうです。 次回予告? まりな 「何よ~結局ぅ 前編と後編に分かれるって事?」 弥生「そうみたいだな~中編もあるかもしれないって言ってた。」 まりな「中編?・・・なにそれ?」 小次郎「うううう手が~手が~」 まりな「どうしたのよ?小次郎」 小次郎「お前のせいで俺の手が~」 まりな「・・(無視)・・次回の予告は~」 ???×2「ちょっと待った~!」 まりな「だっ誰よ貴方たち?」 ???「とりあえず?1号とでも名乗っておこうか!!」 ???「わたしは、?2号ね・・・」 まりな「ちょちょっと~貴方たちねえ・・・・」 ?1号「そういうことで次回予告だあ~」 ?2号「次回こそ弥生さんがピンチになりマース!」 弥生「次回こそって・・・?2号さん~テンション急に高くなってる。」 ?1号「気にしない気にしないってな事で次回は、我々オリジナルキャラが・・・」 ?2号「出ます 出します 活躍しますぅ~」 ?1号「題して アフターサービスにご注意~後編でお会いしましょう~」 まりな「あっあの~次は中編だそうよ・・・」 ?1号&?2号「えええええええ~」 まりな「えっと~ 次回は アフターサービスにご注意~中編で、まりな~ウルトラキィ~ク!!」 ?2号「まりなさん~かぶってるその台詞・・・」 本部長「俺は一体ど~うなるの?」 まりな「生かすも殺すも書いてる奴次第ね・・もう決まってるらしいけど。」 ?2号「生かすも殺すもって、凄い発言・・・」 小次郎「手があああああああ~」 まりな「じゃかしいいいいい!!!! 黙っとれ~!!」 弥生「まあそういうことで、次回も見てくれ!」 一同「勝手に閉めるな~」 予測されるスタッフ(声優のみ) 小次郎:子安武人 弥生:本多知恵子 ?1号:山寺宏一 ?2号:冬馬由美 まりな:三石琴乃 本部長:野沢那智 男:大塚明夫 ゲスト:林原めぐみ |