「なんなんだ。……一体。……なんなんだ」
善行が一人、涙をぬぐうと、膝の上で仔猫がないた。
それは純白と漆黒の仔猫であった。仔猫は二匹そろって善行を見上げると、小さな声で鳴いた。
それだけが魔術の名残だった。 <続く>