14.事件に関する非一般報告その6および事件に巻き込まれた被害者1に関する報告3

 我らが主人公、妹人は、荒い息のまま、座り込んで上を見た。 木と木に挟まれた神社の境内である。   は、涼しかった。 が汗に触れて冷えていく。 途中で佳々子を抱き上げて走ったので、さすがの本格派バカも少々疲れていた。

「ここまで来れば、もう大丈夫だろう。」
「…」
ごめん委員長。辞書が大分痛んだ。」

「…大丈夫?」
うん。ごめん。」

 小村 佳々子(こむら いいこ17歳女)は、一生懸命乱れたスカートの裾を整えて、髪がボサボサでないか と、あらぬ心配をした。少しでも良く見られたかった。抱き上げられた感触が、体に残っている。 頭が熱っぽかった。  その姿を見て妹人は笑った。

「…強い人間は、なんで強くなる必要があるって思う?」
「…?」
師匠が言っていたよ。それは困っている人を、助けられるようにするためだって。」

佳々子は、自分の前で優しそうに笑う人間が、とんでもなくイイ男ではないか と思った。

は、ただ強くなりたいんだけどね。」

「…重かった?
「いや、あんまり軽いんで驚いた。」



          
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